

コンプライアンス意識の強化で再発防止へ
BIPROGY株式会社が推進する
社員の意識改革
BIPROGY株式会社
BIPROGY株式会社
社会的な信頼性が企業経営の持続性を左右する中、コンプライアンスの重要性がこれまで以上に高まっています。不正・不祥事に対する社会の目は厳しく、社員一人ひとりの意識や行動に対しても、透明性と説明責任が強く求められるようになっています。
こうした中、BIPROGY株式会社(以下、BIPROGY)では、社員一人ひとりの意識と行動を可視化するための「コンプライアンス意識調査」を年2回実施。組織の抱えるリスクの予兆や倫理観の現状を定量的に把握することで、実効性のある施策の立案に取り組んでいます。
佐藤氏:当社は、創業が1958年の日本のコンピューターの黎明期を支えてきた会社です。
当社は「先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出します。」というパーパスのもと、お客様のビジネスを深く理解し、社会貢献を果たすことを目指しています。
従来はシステムインテグレーターという位置づけでビジネスを展開しておりましたが、現在はビジネスの社会的価値創出というところを目指しながら、ICTを通じて社会課題の解決に貢献することを使命とし、コンサルティングからシステム開発、アウトソーシングまで幅広いサービスを提供しています。
グループ全体で約8,400名の従業員を擁し、金融・公共・製造・流通など多様な業界にソリューションを展開しています。
BIPROGY株式会社 佐藤 弘隆氏
佐藤氏:コンプライアンス意識調査の目的は主に3点あります。
1つ目はコンプライアンス意識の現状の把握と課題の特定です。
当社では、さまざまなコンプライアンスの施策を実施していますが、本当にそれが理解されているのか、現場の認知、認識、共感はどこまで深くなされているのかを把握しなくてはいけない。また把握できたその事実の裏にどのような課題があるのかを考え、効果的な施策立案に繋げるためでもあります。
2つ目は意識向上に向けた継続的な取り組みの推進です。
調査結果を基に、教育研修や社内制度の見直しなど、意識向上に向けた具体的なアクションを継続的に実施するためです。
3つ目はリスクの早期発見と予防です。
潜在的なコンプライアンスリスクを早期に発見し、重大な問題に発展する前に予防措置を講じるためです。
特に、2022年6月に発生した尼崎市様における個人情報を含む“USBメモリー紛失事案”に関しましては、情報産業を担う当社において極めて重い教訓となりました。
このインシデント以降、私たちは同様の問題を二度と起こさないという強い決意のもと、コンプライアンス強化に一層注力しています。
2022年6月23日、BIPROGYは尼崎市における個人情報を含むUSBメモリーを紛失する事態を発生させた。 USBメモリーにはパスワードが設定されており、内容については暗号化処理が施されていたものの、USBメモリー内の個人情報には尼崎市民の46万517人分の住民基本台帳の情報が含まれており、世間に大きな衝撃を与えた。2022年4月1日付で「日本ユニシス株式会社」から「BIPROGY株式会社(ビプロジー)」に社名を変更した直後の出来事だった。※補足:USBメモリーは同年6月24日に発見された。
佐藤氏:近頃は人材の流動化が確実に進んでおり、組織のメンバーが短い間で違っているということが当たり前にあります。組織の状態を正確にキャッチアップしていくという意味で半期に1回という実施回数は、組織の正確なモニタリングのためにも適していると考えています。
調査を準備したとしても、現場からの協力がなければ精度の高い調査は行えないが、BIPROGYでは現場のコンプライアンスへの熱意が高く、協力を得られているという。
佐藤氏:非常に前向きです。『コンプライアンスへの意識の低さが、一歩間違えると会社が潰れかねないような重大インシデントを招きかねない』という意識が強くなったと感じています。
また当社の『Vision2030』の実現に向けたマテリアリティというものがあります。経営上の重要項目で、その中にコンプライアンスも含まれおり、経営陣も、意識調査の結果を非常に重視しています。
経営陣、現場、ともにコンプライアンスへの熱量は高いと感じています。
コンプライアンス意識調査は匿名性を完全に確保したうえでの調査スキームを採用しているため100%の回答率ではないものの、回答率は毎回90%を超えており常に高い水準を維持している。
佐藤氏:匿名性を確保することで、役職員は率直な意見を述べやすい環境であると感じているようです。USBメモリー紛失事案以降は、自分たちの業務が社会に与える影響の大きさを再認識している傾向が顕著に見られ、自由記述欄には具体的な懸念事項や改善提案が寄せられることもあり、これらは貴重な情報源となっています。
BIPROGY株式会社 山本 英樹氏
佐藤氏:調査をすることは簡単ですが、結果のフィードバックを現場の組織長と我々で密接なコミュニケーションを取って、ぬかりないように進めていかなければいけません。アフターフォローもしっかりやらないといけないというところで、今まさに工夫を重ねているところです。
スコアで見れば良いスコアにはなってはいるのですが、「本当にリスクがないのか」という点で、調査結果だけに依拠しないようにしています。グループ各社のチーフコンプライアンスオフィサーと個別に会話の場を持ったり、個別の追いかけ調査を実施したり、多重的にフォローアップをしています。
山本氏:スコアの平均値の一覧表や否定割合一覧表は、あえて自分の部署だけでなく、他の部署のものも見えるようにして展開しています。そのほうが自分の部署の状況がわかるためです。
佐藤氏:全社員にすべて公開しているわけではないですが、少なくとも組織長に関しては、横の組織と比べてみて、考える機会にしてほしいと思いそのようにしています。
山本氏:結果をいただいたらできるだけ早く異常値を確認するということをやっています。またカテゴリー別に分け、どんな内容が多いのか、特定の組織でネガティブな意見があがっていないかということも確認しています。同じようなネガティブな話がいくつか出てきていれば、事務局として早めに対応するようにしています。
株式会社KNOT DATA 宗宮 亮
佐藤氏:組織で見た時に、アラートが出ている組織ってやっぱりあるんですよね。そういったところに関しては、「要注意な傾向があるから、その点は確認してください」と個別にお声がけをしています。さらに自由意見があれば、個別にお伝えしています。部署の中で調査できるのであれば調査をお願いしますし、人事部や法務部を巻き込みながらランダム調査みたいなものをするのであれば協力しますと伝えています。現場との信頼関係を醸成しながら、1つ1つ丁寧に懸念事項を解消しています。
またコンプライアンス推進責任者を招いてコンプライアンスの事案共有会も行っています。その中で意識調査の話もさせていただいて。『実はうちの組織はここら辺が弱いんだよね』などの相談があれば、他の組織長から、『うちはスコアがしっかりしてるんで、事例として共有しますよ』とか。そんなコミュニケーションの場にもなっています。我々の方も知見がありますので、提案したり、今後の教育に組み込んでいこうと検討したりします。現場も学べるし、我々も議論に参加することによって、双方で知見が溜まっていく。そんな良いスパイラルが生まれているのかなと思っています。
佐藤氏:文化、慣習に踏み込み、多角的な観点で分析する上でKNOT DATAさんにご提供いただいている『5つの視点』がわかりやすいと感じています。
調査の結果は経年で見て変化を捉えなくてはいけません。『5年、10年、この調査を行った時に、経年で見る価値、有用性がある』と思えるかどうかを考えたときに、KNOT DATAの調査は汎用性が高く、有効であると感じました。
また、調査の項目も標準設問に加えてカスタマイズができる点で助かっています。標準設問だけで質問したい内容を補いきれないことは当然あります。今年追加したい内容もあれば、来年には状況が変わって外したい内容もある。そういった時にフランクにご相談させていただいて、ご提案いただけるというところで非常に心強いと感じております。
自分たちだけでやってしまうと、本来確認したい内容を見誤ってしまうところがあると考えており、第三者に相談し、やりたいことをお伝えした上でどう実装するか、非常に丁寧にアドバイスしていただいております。良き伴走者だというのが率直な感想で、サポートが充実しているといったところでも信頼し、選ばせていただいているというところですね。
株式会社KNOT DATA 五十嵐 健介
KNOT DATAでは調査結果をBIツールで可視化し、ダッシュボードの納品も行っておりBIPROGYでもそれを利用している。
佐藤氏:BIツールを導入したことで、分析結果がかなり読み取りやすくなったというのが率直な感想ですね。ダッシュボードや統計解析による課題提言サマリーなどのアウトプットを見て、直感的に分かりやすい。非常に上手く整理されています。現場にもほぼそのままの状態で展開しても結果を読み取ってもらえています。弱い部分もすぐにわかりますし、品質として非常に良いという印象ですね。
佐藤氏:伝統的な会社であったとしても想定外のことが頻繁に起こる中で、1人の働く人間として、迷ったり、困ったりして立ち止まる場面に遭遇することは、5年前、10年前に比べれば、今のほうが圧倒的に増えていると感じています。その時に自分はどうするのか。そういう場面でコンプライアンスが試されるのではないかと考えています。迷ったり、困ったりした時に、自分を正しい道へ引っ張ることができる。『何のために僕たちは仕事をしているのか』というところを示してくれるのがコンプライアンスだと思います。
細かいルールや手続き、書面の申請ではなく、自律的なコンプライアンスの実践、これをやることによって、お仕着せ的なものではなく、カルチャーとして浸透させていく。それが我々らしいのだというところにつなげていくのが究極的な目標ですね。
『何のために僕たちは仕事をしているのか』を理解して、どうやってフェアなやり方でやっていくのか。そこをきちんと自問自答して、第三者視点として、データドリブンを進めるためにKNOT DATAさんに助言をいただく。そうやって組織の中で繰り返しコミュニケーションしていった先に、自律的なコンプライアンスがあると思っています。
そのためにコンプライアンス意識調査はとても大切なツールです。コンプライアンス意識調査の内容を、どういう文脈で理解するか、現場にどう理解してもらうのか。それを内外環境の変化も踏まえながら、考え続けていきたいと思います。
我々が考え続けるためにも、KNOT DATAさんには、良き伴走者として今後ともお付き合いいただければと思います。
会社名: | BIPROGY株式会社 |
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設立: | 1958年3月 |
従業員数: | 8,362名(2025年3月31日現在 連結) |
事業内容: | クラウドやアウトソーシングなどのサービスビジネス、コンピュータシステムやネットワークシステムの販売・賃貸、ソフトウェアの開発・販売および各種システムサービス |
公式サイト: | https://www.biprogy.com/ |